とても悲しんだイザナギノカミは、イザナミノカミに会いたくて黄泉の国へ歩いていきました。黄泉の国の御殿に着くと、御殿の扉が少しだけ開きました。
「イザナミ!会いに来たよ。一緒に帰ろう。」「イザナギ?もう少し早く来てくれれば・・・私はもう、黄泉の国の食べ物を食べてしまいました。もう戻ることはできません。でも!帰れるものなら帰りたい!黄泉の国の神々と相談してきますので、その間、絶対に私を見ないでください。わかりましたね?」
そう言い残したイザナミノカミは、どれだけ待っていても戻ってきません。しびれを切らしたイザナギノカミは、約束を破って御殿の中へ入って行きました。「イザナミ!イザ・・・」そこで目にしたのは、体中にうじがわいたイザナミノカミ。
イザナミノカミの体からは恐ろしい雷神が成っています。頭には大雷、胸には火雷(ほのいかづち)、腹には黒雷(くろいかづち)、陰部には析雷(さくいかづち)、左手には若雷(わかいかづち)、右手には土雷(つちいかづち)、左足には鳴雷(なるいかづち)、右足には伏雷(ふすいかづち)。
「イザナギ!見ないでって言ったのに!約束を破って!!」イザナミノカミはそう言うと、黄泉の国の醜女(しこめ)に命令します。「行けー!イザナギを捕まえて!!」
必死に逃げるイザナギノカミ。追いつかれそうになったところで、髪飾りをを投げつけると、それは勢いよく伸びてブドウの実がなりました。醜女はあっというまに食べつくしてイザナギノカミを追いかけてきます。
「チクショー!」叫びながらもう1つの髪飾りを投げつけると、今度はたけのこが生えてきました。醜女はあっという間に食べつくしてイザナギノカミを追ってきます。醜女の後ろからは、恐ろしい雷神や黄泉の国の軍勢も追ってきていました。
ようやく出口に差し掛かった時に、1本の桃の木がありました。イザナギノカミが、桃を3個もぎ取って投げつけると、悪霊たちは一斉に逃げ始めました。ところが、うじだらけのイザナミノカミだけは後を追ってきています。
「うわー!どすん!」イザナギノカミは、とても大きな岩を動かして、黄泉の国の入り口をふさいでしまいました。
大岩の向こうでイザナミノカミが言いました。「あなたがこのようなことをするのなら、あなたの国の人々を1日に1000人殺します!」イザナギノカミも負けてはいません。「それなら私は、1日に1500人の子を生もう!」こうして2人は、永遠に決別しました。